11月15日。原田邸に滞在の間、私はもはや使われることのないアンプ、アキュフェーズP-200Lが2台も転がっているのが気になっていた。お暇をする直前に思い切って貸して下さいと頼んだ。普段は人に頼みごとをするのは億劫な私だが、原田先生からいい音になりましたと何度となく感謝されていたので頼みやすかったというのもある。どうぞ持って行って下さいといわれ、重いアンプを抱えて4階を降り、車のトランクに積み込んだ。
私はこのところ悩んでいた。現用のパワー・アンプ、オーディオデザインのDCPW100の出音ははたして正しいのだろうか。ガレージメーカーの社長、大藤さんの言によれば「アンプの電流はどこから供給されるか、人は電源トランスに目を向けるが、それは違う、音が出るその直前にはコンデンサーに貯えられた電流が供給されるのだ。だからトランスを無駄に大型にするのではなくコンデンサーの容量を大きくすべきなのだ」と。きわめて理詰めの説明に納得して本機を購入した。
DCPW100のスペックは確かに超高級機を上回る。低域の駆動力もあるとは感じる。高域は澄み切っている。購入当初は大いに満足していた。しかし、しかしだ。私はこのアンプを聴き続けて段々物足らなくなってきていた。低域のドスンという踏切り、中高域のドライブ感、そういうものがやはり手薄なのである。当初から薄々とは感じていたが、ここ1年はもっと野太い音が欲しいと思いはじめていた。クレルやジェフなど舶来の抱えきれないほどの重量のある電源トランスを持ったアンプに心を寄せるようになっていた。クレルはどの時代の機種がいいのだろうか、Jeffはひょっとして細身に過ぎないではなかろうか。この日、日本のアンプメーカーの代表格アキュフェーズの音にひょっと興味が湧いたのである。アキュフェーズP-300Lは1984年生まれ、体重は28kg、道理で重いはずだよ。
持ち帰った当日の夜、さっそく現用のDCPW-100を引っこめてP-300Lで最近の自作スピーカーで聴いてみた。このスピーカーはfostexFX200を2発、メインとケルトン型サブウーファに使った自信作である。ところがこれがいいんだ、予想を上回って。とうとう4時間くらい聴きこんだ。グーんと引っ張り込まれる中低域、やや耳に付くが張りのある高域。やはりアンプは電源トランスなのか。久しぶりに力溢れる音を聴いて生きる勇気が湧いてきた。大げさな。
2日目、P-300Lを聴く。ところが今夜は様子が違う。昨日は次々と最近聴きこんだCDをとっかえひっかえして聴いてみたのだが、今夜はなんとなくよそよそしい。第一高域がきつい、きつすぎる。なんでこんなに高域が暴れるんだ。昨夜は我慢して聴いていたが今日は我慢できない。スピーカーを外振りにして高域を弱くして見る、到底追いつけない。ひとつには使っているスピーカーが高域を稼ぐために中央にメタルドーム持つユニットだということもあるだろう。ためしに『ケルティック・ミレニアム』という比較的最近の自作スピーカーで聴いてみる。ユニットはフォステクスP-1000Kとステレオ誌付録のツィーターで素材的にもともと優しい音がする。これで聴くとさすがに聴きやすい。安心して聴いていられる。だからといってハイ上がりの元々の性状は変わらない。もうひとつの手。デジタル・エコライザーDEQ2496をかましてみる。久しぶりに調整するのでやり方を思い出すのに時間がかかる。高域を落としてしかに聴きやすくはなった。しかし、元あったグル―ブ感も少し減じてきたような気がする。調整をとことん詰めていけばもっとよくなるかもしれないが、とてもやっていられない。
では、どうしたものか。もしかすると2台あったP-300Lのうちこちらだけが悪いのかもしれない。もう一台を借り出して聴いてみてはどうか。それから、現用のプリアンプ、オーディオ・デザイン社のDCP-105との相性があるかも知れない。同じく原田邸にあったアキュフェーズC-280Lと組み合わせてはどうか。考え出したら止まらない。6日後、私は再び原田邸を訪れることになるのであった。
私はこのところ悩んでいた。現用のパワー・アンプ、オーディオデザインのDCPW100の出音ははたして正しいのだろうか。ガレージメーカーの社長、大藤さんの言によれば「アンプの電流はどこから供給されるか、人は電源トランスに目を向けるが、それは違う、音が出るその直前にはコンデンサーに貯えられた電流が供給されるのだ。だからトランスを無駄に大型にするのではなくコンデンサーの容量を大きくすべきなのだ」と。きわめて理詰めの説明に納得して本機を購入した。
DCPW100のスペックは確かに超高級機を上回る。低域の駆動力もあるとは感じる。高域は澄み切っている。購入当初は大いに満足していた。しかし、しかしだ。私はこのアンプを聴き続けて段々物足らなくなってきていた。低域のドスンという踏切り、中高域のドライブ感、そういうものがやはり手薄なのである。当初から薄々とは感じていたが、ここ1年はもっと野太い音が欲しいと思いはじめていた。クレルやジェフなど舶来の抱えきれないほどの重量のある電源トランスを持ったアンプに心を寄せるようになっていた。クレルはどの時代の機種がいいのだろうか、Jeffはひょっとして細身に過ぎないではなかろうか。この日、日本のアンプメーカーの代表格アキュフェーズの音にひょっと興味が湧いたのである。アキュフェーズP-300Lは1984年生まれ、体重は28kg、道理で重いはずだよ。
持ち帰った当日の夜、さっそく現用のDCPW-100を引っこめてP-300Lで最近の自作スピーカーで聴いてみた。このスピーカーはfostexFX200を2発、メインとケルトン型サブウーファに使った自信作である。ところがこれがいいんだ、予想を上回って。とうとう4時間くらい聴きこんだ。グーんと引っ張り込まれる中低域、やや耳に付くが張りのある高域。やはりアンプは電源トランスなのか。久しぶりに力溢れる音を聴いて生きる勇気が湧いてきた。大げさな。
2日目、P-300Lを聴く。ところが今夜は様子が違う。昨日は次々と最近聴きこんだCDをとっかえひっかえして聴いてみたのだが、今夜はなんとなくよそよそしい。第一高域がきつい、きつすぎる。なんでこんなに高域が暴れるんだ。昨夜は我慢して聴いていたが今日は我慢できない。スピーカーを外振りにして高域を弱くして見る、到底追いつけない。ひとつには使っているスピーカーが高域を稼ぐために中央にメタルドーム持つユニットだということもあるだろう。ためしに『ケルティック・ミレニアム』という比較的最近の自作スピーカーで聴いてみる。ユニットはフォステクスP-1000Kとステレオ誌付録のツィーターで素材的にもともと優しい音がする。これで聴くとさすがに聴きやすい。安心して聴いていられる。だからといってハイ上がりの元々の性状は変わらない。もうひとつの手。デジタル・エコライザーDEQ2496をかましてみる。久しぶりに調整するのでやり方を思い出すのに時間がかかる。高域を落としてしかに聴きやすくはなった。しかし、元あったグル―ブ感も少し減じてきたような気がする。調整をとことん詰めていけばもっとよくなるかもしれないが、とてもやっていられない。
では、どうしたものか。もしかすると2台あったP-300Lのうちこちらだけが悪いのかもしれない。もう一台を借り出して聴いてみてはどうか。それから、現用のプリアンプ、オーディオ・デザイン社のDCP-105との相性があるかも知れない。同じく原田邸にあったアキュフェーズC-280Lと組み合わせてはどうか。考え出したら止まらない。6日後、私は再び原田邸を訪れることになるのであった。
スポンサーサイト
NEXT Entry
NEW Topics